光の奇跡?世界遺産0号?大仏と背比べ! アブシンベル神殿
エジプト最南端、スーダンとの国境近くに世界遺産創設のきっかけとなったアブシンベル神殿があります。今日はここを紹介します。
アブシンベル神殿の歴史
紀元前1250年頃、偉大な建築王ラメセス二世によって建築されました。
1800年代の初め、スイス人ブルックハルトが地元の人の案内でこの神殿を発見し、西洋世界に知られることとなりました。ただその時は四分の三は砂に埋もれていたため、発掘することによってはじめて神殿内部に入ることができました。
世界遺産創設
このアブシンベル神殿、危うくアスワンダムの底に沈むところでした。
1960年代、ナイル川にアスワン・ハイ・ダムの建設計画があり、水没の危機にありました。この壮大な遺跡を救うためにユネスコによって国際的な救済活動が行われました。
このプロジェクトでは遺跡を1000個以上のブロックに切断してこの高台に移設しました。そして遺跡の組直しには日本メーカーの接着剤が使われたそうです。
このプロジェクトをきっかけに世界遺産を保存しようという気運となり、世界遺産創設となりました。ただアブシンベル神殿は、1978年に登録された世界遺産第1号には含まれていません。翌年1979年に登録されました。しかし世界遺産創設のきっかけとなったのでここは世界遺産0号だともいえます。
入場料を払う前にこのプロジェクトの展示室があります。
ちなみに今世界遺産は幾つ登録されているかご存じですか?
合計1121件(2019年現在)です。皆さんは幾つぐらい行かれたことがありますか?記録に着けてみるのも楽しいかもしれません。
日本では23件世界遺産に登録されていて、国別では12位となっています。エジプトはさぞかし多いと思いきや、たったの7件でした。さてなぜでしょう?それはまたいつか。
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アブシンベル大神殿
チケットを購入して入場してから、右手にアスワンダムを見ながら5分ぐらい歩くと、左手にアブシンベルの大神殿が見えてきます。この正面にはラメセス2世の像が四体もあります。彼の生涯の4つの時期を彫像にしたそうです。左が一番若く、右に行くにつれ年齢が上がるのかと思っていましたがちょっと違うようです。それぞれの彫像に名前が彫ってあるそうで、一番左から
- 異国の太陽。戦争に明け暮れていた時期の彫像。
- 二国の王。彼が王になった時期のもの、地震によって顔が壊れてしまいました。
- ラメセス・メリアモン。これは彼の幼少の名前だそうです。
- アトゥムに愛されしラメセス。アトゥムとは太古の神の名前です。
ではここでクイズです。
ラメセス2世像と奈良の大仏どちらが大きいでしょうか?
奈良の大仏は高さ15メートル、ラメセス2世は20メートル、ですからラメセス二世の方が5メートル、高いことになります。
でもある人はこう言いました。「大仏は座っているから立ち上がれば30メートル」になる。
そんなこと言うときっとエジプト人は、「ラメセスは椅子に座っているから立ち上がればもっと高くなる」
まあどちらでもいいのですが、ラメセス2世は古代エジプトで最も自己顕示欲が強い、という説明には説得力があります。ファラオの中のファラオ、最も偉大なファラオまた建築王として知られています。
もう一度一番初めの写真に注目してください。この足元には愛妃ネフェルタリや子供達の像も刻まれています。しかしラメセスのと比べると本当に小さいです。膝ぐらいの高さしかありません。そして入口上部にはこの神殿の神「太陽神ラー」の像が配置されています。確認できましたか?
では中に入ってみましょう。ここにはオシリス神の形をしたラメセス2世像が左右に計8体あります。
光の奇跡
さらにそこから奥に進むと至聖所です。
ここは至聖所に行く手前ですが小部屋がいくつかあり、きれいな壁画がたくさん残っています。
至聖所の写真はビデオで是非確認してみてください。左から
- 商業の神また冥界の神でもあるプタハ
- 国家神アメン・ラー
- ラメセス2世
- 太陽神 ラー・ホルアクティ
アブ・シンベル神殿で年に2回だけ、10月22日と2月22日、神殿の奥にある像に太陽の光が差し、これを最近では光の奇跡と呼ぶそうです。一説には王の誕生日と即位した日と言われていますが、そうではないという説が今では有力になっているようです。
年に2回太陽の光が入ってくる際、一番左プタハは冥界の神なので光が当たらないそうです。
まずラメセス2世とアメン・ラーに、最後に右側のラー・ホルアクティに光があたりました。これは世界ふしぎ発見で放送されていました。番組ではこの神殿はラメセス二世を神格化するための神殿と説明されていました。
南部にある国ヌビアににらみを利かせるために作ったという説もあります。
アブシンベル小神殿
大神殿からさらに進んで約100メートル、ここに小神殿があります。この小神殿はハトホル女神を祭っていますが、ラメセス二世の最愛の王妃ネフェルタリのために建造されたものでもあります。
左側中央に王妃ネフェルタリの像、その両側にラメセス二世の像があります。右側も同様でラメセス二世の像に挟まれる形で彼女の像が立っています。
先ほど見た大神殿にも彼女の像がありましたが、違いがわかりますか?
通常、ファラオの王妃たちは、王の膝ぐらいまでの大きさに描かれるもので、大神殿はそうなっています。ラムセスと同じ大きさで築かれたネフェルタリの姿は、ラムセスにとって彼女がいかに重要であったかを示しているそうです。
ここもきれいな壁画がたくさん残っています。
360度カメラを使ってみんなが見れないところを覗いてみましょう。
行き方
アスワンから日帰りツアーに参加するのが手軽でしょう。早朝早く出発しますが、片道約三時間で午後の早い時間にはアスワンに戻ってくることができます。現地ツアーはたくさんあり、アスワンのホテルで申し込むことができるでしょう。この現地ツアー、車はトヨタの10人以上乗れる大型バンでまあまあ快適ですが、ツアーガイドはついていません。運転手の横にもう一人現地人が座っていたので彼がガイドかと思っていましたが、彼は帰りの運転手でした。遺跡の中は自分で見て回るだけで、彼らは何も解説などはしてくれません。
私たちの場合(2019年10月)
アブシンベルへの車代 一人500ポンド
入場料 215ポンド (2019年11月から240ポンドとの情報あり)
10月22日と2月22日 (神殿に朝日が差し込む日) 500ポンド
10月と2月はエジプトの遺跡を回るのにとてもよい季節です。関心のある方、是非光の奇跡を見に行ってみてください。感動すること間違いなし?
この二日間は非常に大勢の人が押しかけます。アブシンベルの町にはあまり多くのホテルがありませんので、早めに手配されることをお勧めします。
以上、世界遺産0号、アブシンベル神殿でした。